今日
喫茶店でぼんやりしてたら、2人組のおばさんが僕の後ろの席に座った。
やっぱり
ドラマに出たい。
そんなことを相方と話していると
おばさんたちは年を取るのはいやだという話を始めた。
井伏鱒二に似ているほうのおばさんは
「こないだね、私腰の骨を折ったのよ」
「いやあ、怖い。どうしたの」
と
由紀さおり似のおばさんが聞く。
「それがね、コタツで寝ていて起き上がろうとしたらバキィッといったのよ」
僕と相方の動きがほぼ同時に止まった。
コタツで寝てて起き上がっただけで骨折??
由紀さおりも
「私も、
お風呂でお尻に
石鹸がついていたのかわからないけどスッ転んでしまって
後頭部を思い切り打ったんだけど足の筋が違っただけで助かったわ」
「あら〜、良かったわね。96になる母もこないだ腰の骨を折ってねぇ」
僕は2人に聞こえないよう、ささやくような小声で相方に聞いた。
「おい、腰の骨ってそんなしょっちゅう折るものなのか」
相方は聞き返す。
「後頭部を打ったら、足の筋が違っただけで済むもんか?」
もしそれが本当だとしたら、どんだけ腰の骨をおる家系なのか。
このおばさんたちはなんて破天荒な体の作りをしているんだろう。
感心していると、鱒二のほうが
「あら、ゴメンナサイ。あたし、時間だわ」
「旦那さんと出かけるの?」
「ちがう、ちがう。パートに行かなきゃなんないのよ、ブタマンの」
いそいそとブタマンのパートに出かける彼女とそれを追いかける由紀さおり。
こんな人たちが普通に生活しているこの街で、ドラマなんかに出ている場合ではない。
俺たち二人はなんか初心を思い出したような気がした。